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映画「シェフ-三ツ星フードトラック始めました」を見てきました。

こんにちは。北海道鹿追町の公務員、石川誠です。

「シェフ」という映画を見てきました。最近は映画館に行くことも少なく、ネットで座席が指定できるようになっている所もある、ということも初めて知りました。
すごい友人が「これはSNSをやる人は見ないとダメ!」と、猛烈におススメしてくれた映画なので、楽しみにして見に行きました。以下、思ったことになります。前半部のネタバレありなのでこれから見る人は読まない方がいいです。映画は面白かったです。

シェフ ポスター写真

十勝ではまだ上映してないみたいです。

 

タイトルが「シェフ」なので、料理バトルの話をイメージした。子供のころ見ていたアニメにミスター味っ子というのがあり、料理人二人が同じテーマで料理を作り、審査員に試食させてどちらが優れているかを勝負するという内容だったが、料理のあまりのおいしさに、食べた審査員が「うーまーいーぞー!!」と叫びながらなぜか大阪城より巨大化し(たぶん、それぐらいおいしかったから)、勢い余って町を破壊して(たぶん、それぐらいおいしかったから)、さらに大きくなって宇宙に飛び出す(たぶん、それぐらいおいしかったから)ような内容を想像したが、見に行ったらそういう方向性ではなく、テーマは親子愛や、師弟愛、夫婦愛など、結構真面目な内容だった。
ただ、話のスパイスに(主軸に?)ソーシャルネットワーキングサービス(以下SNS)が使われていた。ツイッターが炎上してすごいことになる。

ツイッターの炎上で思い出されるのは、アイスケースに寝そべった若者の画像だろうか。テレビニュースにも取り上げられたくらい、インパクトがあった。「若気の至り」が、日本中からお叱りをうける事態となる、今や大きな影響力を持ったメディアである。
逆に有効に活用する、ということであれば、誤発注で二桁多く頼んでしまったものを、ツイッターで「ピンチ。助けてー」と送信したところ、救いの手が差し伸べられて完売した、という例もある。
SNSで言えば短パン社長という人がSNSだけで告知を行い、業界からも信じてもらえないくらい売れたという例もある。これは、彼がコツコツ続けてきたことが、実を結んだということなのだが、聞き手に理解する下地がないと、手品を見ているような気になり、正しい答えは出せないのであろう。件の社長がその話をしていると、人によっては「友達だから売れたんだろう」「ショッピングサイトの作りが良かったのでは」という、自分の理解の範疇に留まるような解釈をしようとする(ちなみに、友達に売り込んで、一千六百万円も買ってもらうことができるだろうか? そして、ショッピングサイトは特になく、Facebookで告知しただけである)。「わかる」と「できる」は別次元のことであると言われるが、コンピューターの進化により、「わかる」までに壁があることが増えた。
まさに、花は観手に咲くということで、観手によっては花の咲く理由がわからないし、それが花だとも気がつかない。短パンをはいているから人気者なのではなく、常に短パンをはく行動力と信念、そこに至るまでの発想が、次第に理解され、支持されるということなのだが、目立つ派手なパフォーマンスを取り上げて、「あの人だからできる」というのは彼を理解したことにならない。
むしろ、彼の短パンという服装を学ぶのではなく、なぜそうするのか考え方を学ぶべきである。彼は、「この売り方は僕しかできないけど、誰にだってできる」と語っている。

「反発」と「共感」?
かっこいい友人のおススメ映画、「シェフ」の話に戻ろう。主人公はかつてその料理の腕が評判になり、今は高級レストランのメインシェフとして仕事をしていた。良くも悪くも店の看板であり、一流店ゆえに彼自身が望む革新・斬新な料理を出せず、安定した売り上げと評判を求めるオーナーと衝突していた。
あるとき、料理評論家の来店にあたり、彼は、自分の望む料理で挑もうとし、スタッフもそれを望んでいた。が、オーナーはチャレンジを認めず、彼の挑戦は叶わなかった。
定番でおいしいが、チャレンジのないありきたりとなってしまったメニューに評論家は失望し、彼の持てる表現力を持って酷評した。
ブログとツイッターで。そして、彼の読者に広がり、ネット上で大きな反響となる。
予想以上の悪い反響に焦った主人公は、慌てて息子に習い、ツイッターで罵倒するが、昨日慌ててアカウントを作った彼は、相手にだけのメッセージだと勘違いして、全世界に罵詈雑言を公開してしまう。
もともと無名な男ではなかった主人公と評論家の争いは、ネット上で大いに盛り上がった。当人の思惑に関わらず。これはネットでは「イベント性」の盛り上がりだろう。
もちろんネットに疎くても料理の腕は折り紙付きの主人公、彼の創意工夫で評論家の舌を唸らせる新作料理を出そうとしたが、またもオーナーに阻まれる。
それどころか、主人公とオーナーのお互いの主張、シェフのこだわり料理か、安定、定番の料理かで折り合いがつかず、クビになってしまい、戦うことができなかった。評論家に出されたのはサブのシェフの出す、定番料理。当然、評論家は再度失望。「逃げ出した」と評する。主人公は怒りの突撃を行うも、全くの逆効果。今度はその興奮しきった様子が動画でネットに流れ、ネットでさらに(良くも悪くも)盛り上がり、雇い先が無くなった。
ここからの挽回が面白いのだが・・・。
それはそうとして、感想として、傍目で見ると、「それやっちゃダメ!」ってことばかり続けていきます。そうでなければ話にならないけど。
だが、この辺りの展開は、ネットに疎いと、そう動いてしまうというのは十分な説得力があり、怖いなと思わせる。
これだけだと、インターネットを使うのは止めようかと思ってしまうくらいだが、ここからが面白い。インターネットは毒にも薬にもなる、しかも劇薬である。
どこまでネタバレしていいのかわからないが、見終わったあと、明るい気持ちになる映画なので安心して見てもらいたい。

インターネットは大きな影響力がある。

僕の尊敬する先生は、「個人でメディアがほぼ無料で持てる、エキサイティングな時代だ」と何年も前から話していたが、まさにその通りで、相対的にマスメディアの力はこれまでに比べて落ちる一方である。
近頃話題になったルミネの広告動画は、今後、セクハラ上司(同僚?)を見返すようなシナリオがおそらく用意されていた気がするが、その前の掴みの段階で叩かれて、続くスカッとする解決編の上映を待たずして引っ込めざるを得なくなったようだ。
提供方の、続編への引っ張り方もコントロールできなくなり、広告にはこれまでと違った手法を取らなければならなくなった。かといって、長―い動画を一度に魅せられても最後まで再生されないかも。少しずつ見せたかったのだろうなと思う。難しい時代だなぁ。
おっと、映画と関係なくなったので話を戻すと、主人公の行動に対しては、非難ばかりではなく、「賛否両論」である。自らの料理を否定されて、評論によって窮地に陥ったため、相手に感情的になって怒るシェフに対して、共感する人もいるということである。
それだけではなく、1度目のツイッター炎上のあと、店は予約で一杯になっている。良くも悪くも知られることが必要ということである。
ここからは、家族愛、親子愛、師弟愛や、プロとしての生き方の話になる。ただ、真面目に仕事に徹するだけでなく、正しく社会に理解してもらうことが必要である、という示唆に富んだ話である。
主人公は、見た目はかっこよくないけど結構モテるので、そういう意味でも勇気をもらったりした。

予定の倍くらい、文章を書いてしまったので唐突にまとめ。

世の中、自分の未知のことで窮地に陥ることもあるし、思った以上に成功することもある。ただそれは、きちんとした精進や技術(今回は料理の腕)がないと活かせない。あと、自分の心を偽って仕事をしていては、自分自身や家族は幸せになりがたい、ということもある。
そして、トラックがいきなり綺麗になり過ぎじゃないか、と思った。磨きマニアは納得の仕上がりなのだろうか。

この映画から得た教訓
仕事も大事だし、家族と向き合う時間も大切。あと、世の中で流行っているものへのアンテナがないと、ピンチになる。
仕事を楽しみ、家族のことにも目を向け、そして、幅の広い勉強をしよう。宿題は早めに提出しよう。
おわり。