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東京の友人、看板キングの高橋さんを訪ねた。

東京の友人を訪ねた。

東京の友達のところに遊びに行った。看板キングの高橋芳文さん。マツコの知らない世界に出演、メディアに出ていて、著者もあり、業界団体の要職を務め、有識者として官公庁からも意見を求められる、看板会社の社長さん。スゴイ人だ。

ある日、Facebookの投稿で、小さな出版社さんが集まって開催するイベントの運営に携わると書きこんであったのを見て、「面白そうだね!」とコメントしたら、「おいでよ!」と。

北海道から向かうので、イベントのスケジュールを確認すると、朝一から参加するには朝の飛行機では間に合わない。せっかくだから前日入りした。

「一緒にご飯食べよう」と誘ってくれたので、準備をしている桜神宮に向かう。神社の境内と、著名な作家の田口ランディさんがいた。

高橋さんはずいぶん親しそうな雰囲気。「北海道から明日のイベントのために来た、ボクの友達です」と紹介してくれた。ランディさんは、ニコニコしながら、えー、わざわざ、ありがとうございます!と、これまた笑顔。

子どもの頃から小説家さん、作家さんに憧れていて、なんか作家さんは気難しいというイメージを勝手に持っていたけど、笑顔が素敵な人だった。

ボクは元来人見知りする質で、あこがれの職業の方を前に、さらに、その方の本はまだ一冊も読んでいなかったので、「どうも」と言ったきり、続く言葉がなかった。

本を読む前に著者さんに出会う。これは、本好きとしてはちょっと悔しいというか(悔しいったって自分で読んでいないんだから、なに言ってんのと思うが)、しまったと感じた。これは、明日のイベントでランディさんの話を聞く前にやっぱり本を読んでおこうと思った。

 

新宿を歩く。

高橋さん(彼はポテト好きなので、以下ポテト)が、「新宿泊まりなら、いい雰囲気のお店があるんだ」と、首都高を使って新宿を目指す。

田舎から来たボクに、せっかくだからとゴールデン街を案内してくれた。ポテトは、日本で有数の看板界の権威である。

歩きながら、「こういう看板面白いでしょう」と子供のように無邪気な笑顔を見せてくれる。かと思えば、経営者としてお金につながることばかり考えている、お金ではない価値観ってよくわからなくてと率直に語る。

ボクは彼のFacebookの投稿を良く見ているが、これを見ているとお金じゃなくて目に見えないことの価値をずいぶん感じて求めている。

本当にお金だけが価値観の人だったら、ビジネスにつながりそうもない、田舎の公務員など相手にしないだろうとか考えると、露悪家なんだなぁと思った。

そういえば学生の頃、偽善者と言う言葉の反対の概念を思いつき(自分だけがそこにたどり着いた気になり)、わざと実像より悪く振る舞う人のことを偽悪者と表現していた。
ただ社会に出てしばらく経ってようやく、世の中で偽悪者という表現をめったに目にしないのは、偽善者の反対は露悪家という言葉が既にあったからと気がついて、得意げに造語を使っていた自分が恥ずかしくなったことを思い出した。

 

裏の道を入っていくとちょっと一本奥に行くだけで、狭くなり暗くなる。人も減る。あのあたりに入るとビール1分8,000だよと教えてくれた。異文化に触れるのはなんだかワクワクする。逆に東京に住む彼を鹿追に案内にしたら楽しんでくれるだろうか。畑しかない風景、雪に覆われた大地、すっかり凍ってしまった湖の上に氷で作るアイスロッジ。北海道の食べ物。彼なら意外と喜んでくれるかも。今度地元の画家神田日勝の美術館を案内したらどんな感想をかたってくれるだろうか。今度誘ってみよう。と、猥雑な街を歩きながら思った。

「こういう感じのお店、なかなか一人では来れないでしょ?」と、入っていった店は、古い感じの建物。

ウェイトレスが片言の日本語なのは、コンビニでもそうだが、店の奥さん、マスターも中国のなまりがある。本場の家庭中華だ。料理の名前は、一度聞いても覚えられないくらいなじみがないけど、美味しかった。

これはエビチリ。唯一名前が分かった料理。

お互い、あんまりFacebookやSNSに書くようなことじゃないようなことを含め、お互い遠慮なく話す。ポテトは興味のジャンルがとても幅広く、なんというのか、ある意味捉えどころがないというか、枠に収まらない人で、求道者だ。

彼に、こう言われた。「ブログをみると、ずいぶん遠慮して書いてるよね。もっと思ったこと書けばいいんじゃない?」

彼には、ふだんボクが隠している毒の部分も御見通しのようだ。

「確かに、全方位外交、八方美人なんだよね。昔、本音を文章で書いたら、行き違って苦労した経験があるんだけどさぁ…。面と向かって相手の表情や、間を感じながら話す方が、本音のドギツイ言葉も誤解されそうになったら補足しながらやりとりできるからねぇ…。」

 

心地よい時間はあっという間に過ぎていく。

 

あの看板のこと

前から、彼と共にやりたかったことを思い出した。「そうだ、あの看板のところで、一緒に写真を撮ろうよ!」

「いいね、行こう行こう」

あの看板とは、この看板。歌舞伎町を象徴するこの看板、ポテトが作ったそうだ。

 

表情はいいけど、メガネが反射しちゃった。

スマホのカメラで捉えられる光と(バージョンにもよるのだけれど)、肉眼で見る、周りの風景の中に浮かび上がる美しい文字とは、ずいぶん差がある。

なにかの機会で歌舞伎町に訪れる人には、ぜひ自分の目で見てほしいな、と思った。

「アイラブニューヨークのオマージュなんだけど、実は、別の着想があってね…、」と、この看板の最高の使い方を教えてくれた。できた作品とともに、そこに至った考え方を作者直々に制作秘話と共に解説してくれるのは、とても贅沢な美術鑑賞だ。

 

ホントは、すごくきれいな鮮やかな赤の文字。写真でなく、町のなかの風景として、とっても美しい。このネオン、とっても主張するけど、でも、この町の風景にピッタリ。

東宝のゴジラとともに、町の名物だね。スゴイ。

充実した時間を過ごし、泊まるホテルにたどり着いたのが午後10時40分。

フロントで夜中まで開いている本屋さんを聞いてみると、「少々お待ちください」とパソコンで検索してくれた。

眠らない街新宿の店で何件ぐらい、夜まで本屋さんが開いているんだろうと思ったら、ここから近くの本屋は午後11時ぐらいに閉まってしまうとのこと。歩いて20分くらいかかるそうで、着いたころには閉店である。

もちろんもっともっと遠くまで行けば開いている本屋はあるのだけど…。

そうかぁ、でもまあいいか。そういう風向きではないんだなと、ランディさんの本をあきらめて、ガラッと趣を変えてラーメン屋さんは近くにありますかと尋ねる。

こちらは、すぐリーフレットが出てきた。

「1番近くで、すぐそこの角にあります。」

聞いたボクが言うのもなんだが、本屋とラーメン屋の落差はずいぶんとあるなぁ。と思った。文化より食欲か。ボクもね。
すぐ食べに行こうと思ったが、飛行機と電車の移動でちょっと疲れたので部屋で一休み。

ベッドで横になりながら、自分でスマホを使って検索をしてみる。渋谷まで出れば24時間空いている本屋さんがあるみたいで、このホテルから渋谷までどのぐらいかかるのかなあとGoogle マップで調べる。

電車の乗り換えで、新宿と渋谷の駅はとにかく迷う。さっきも羽田から京急に途中直通で○○線というのがいろいろ変わりながらも渋谷まで来て、田園都市線への乗り方がわからなくて、改札から出てしまい、別のところからまた入った。

またうろうろして、どうもこっちじゃないと出ようとしたら、自動改札が閉まる。駅員さんに尋ねると「ここから出るとお金がかかるので○○改札から出るといいですよ」と教えてくれた。正直言ってそこまで迷わず戻れる自信もなかったしもう複雑さにとまどったりしていたので、田園都市線に乗り換えたいのですがと話をして、道を教えてもらった。

すでに待ち合わせの時間に少々遅れそうで何百円かはどうだっていいかなぁと。そんなわけでここから渋谷まで行って探すというのは、買いにいって迷って、たどり着いて本屋さんで目移りして迷って、帰り路にまた迷って…という頃には相当の時間が経っているだろうし、そうなると多分読まないで寝て朝を迎えて出発の時間になる気がした。

それなら意味がないなぁとスマホでルートを探りながら思っていたところ、いやまてよ、と。

iPhoneに入っている電子書籍のアプリを思い出した。

そして探してみたら、さっき友人に勧められた作品は無いものの、前に新聞か何かの書評欄で見かけて気になっていた内容の本があり、ダウンロード。なるほど700円ばかし払うだけで本の内容が手に入る。

わざわざ時間をかけて電車に乗って図書館に行くより買ってしまう方が、ただより安い。

さてこれは著者にいくらぐらい入るのだろうか、と思いながら読み始める。

 

【ゾーンにて】

電子書籍、ずいぶんと便利な世の中になりました。
図書館は今までのやり方だとピンチ。

 

主人公は福島で起きた原発事故の避難地域に行き、打ち捨てられた牧場の牛を見る。繋がれたままミイラになった牛、生き延びて久しぶりに人間を見て喜んで寄ってくる牛。家畜として生きていたが、人間がいられなくなり、食べられる運命を逃れ自然の中で生きる牛。幸せなのかそうでないのか。

牛だけでなく、ダチョウもいた。飼われていたダチョウは人間を見つけて寄ってくる。

ボクの町にもダチョウを育てている人がいて、その方の話を聞いたことがある。

ダチョウは飼い主であるその人になついているのかと思えば、そうではないと聞き驚いた。なんでですかと尋ねると、「あいつらからすれば俺は卵泥棒、敵なんだ」と。なるほど。
ダウンロードした小説を読んでいると、友達がブログに写真つきで記事を投稿してくれた。ずいぶん自分の顔が丸い。

これは夜中にラーメンを食べる場合じゃないなとちょっと反省。
再び本(電子書籍内の文章、本とは言わないのか言うのか)に戻ると、主人公の「人生に手遅れてなんてないから」という言葉に目がとまった。

この言葉は、いくつもいくつも自分の経験や人の人生を聞いて得た実感がこもっていると重みを感じた。そういう言葉を仰々しく書くんじゃなくて、さらっと1場面に溶け込ませる。読んだ人全員にこれを感じさせたいということではなく、誰かがわかってくれればいい。全員わかる事はないだろう。そういう風に書いているのかなと。なんだか、小説でそういう読み方を今までしたことがなく、さっき作者さんに会ったからかな、とふと思った。

小学校から国語の授業で作者の気持ちを考えよという問いに幾度となく答えてきたのだが。
この小説、面白いなと読みふけっていると、真夜中でも30分に1回は救急車のサイレンの音が聞こえる。ここでは、救急搬送はごくありふれた出来事なんだな。
意識をスマホに戻そうとしたところ、突如思い立つ。そうだ、今度の町の広報で、この本のおススメを書こう!

だが、作家さんは図書館で自分の本の貸し出しが増えると嬉しいのだろうか。ランディさんの顔が浮かぶだけにちょっと複雑な気分になる。

じゃあ、図書館もいいけど、Kindleが便利ですよ、と書くと今度は本屋さん達の顔が目に浮かぶ。ボクは電子書籍には思い入れはないけど、本屋さんは大好きなのだ。

電子書籍も便利だけど、紙の本が優れている点として、電子書籍は物として所有する喜びが薄く、手にした充実感は紙の本が圧倒している。手に入れた喜びは、なんなら、読まなくてもいいくらいだ。

そういえば電子書籍は、買うという表現をするが、アプリがなくなれば読めない。その辺りがどう保証されるかというと、電子書籍は買っているのではなくアクセスする権限を手に入れていて、それも永久のものでは無いようなことを何かで読んだような気がする。

そうするとやっぱり書店で買って部屋に置いておきたい。

ただ、欲しい本が決まっているのならネット書店は圧倒的に便利だ。Amazonに客を奪われる本屋さんの苦境を思う。本屋さんは、立ち寄ると新たな本と必ず出会う。

ボクの中ではアミューズメントスペースである。何気なく10、20冊と買ってしまうこともある。
それはともかく、読んでいると随分と面白い。さっきポテトが紹介してくれたとき、一緒に写真を撮ってもらえばよかった。

明日は多分そんな時間もないだろうな。

ああ、もう今日か。ちょっと寝てから、イベントに行こう。

ミュージックの日、カメラ発明記念日でした。『わたしたちの「撮る」教室』が一押しの本です。3月19日(2017)

おはようございます。北海道十勝鹿追町の公務員、図書館で働いている石川誠です。

 

 

さて、「へー、こんな本、あるんだ。ちょっと読んでみようかな」というきっかけになってほしいと思って「今日は何の日?」をテーマに図書館の本を紹介しています。

 

田中みのるさんのメルマガによると(田中さんのホームページでも調べられます)だいたい一年365日、「何かの日」になっているそうです。

 

3月19はこんな日です。

 

ミュージックの日、アカデミー賞設立記念日、カメラ発明記念日

 

ミュージックの日でした。

「はじめてアコギをさわる人のためのギター安心講座」奥秋ユキエダ 2004年刊行

「初心者のドラム基礎教本(ドラムのリズムが叩けるように、手足の動きを1から丁寧に解説!)」枝川淳一 2011年刊行

「エレキ・ベースが弾けちゃった(楽譜が苦手な君でもOK!これは便利!!)『コード表』付き!!」江部賢一 2010年刊行

今日はバンドとダンスのイベント、ステージザウルスが鹿追町民ホールで行われます。16時30分からです。ぜひ!

 

 

カメラ発明記念日でした。

「わたしたちの『撮る教室』」小寺卓矢・石川晋・石川学級41名の生徒たち 学事出版

2016年刊行

奇しくも、こちらの本の刊行記念講演会が帯広の岡書で昨日行われていました。

岡書のドトールで。様々なイベントが行われていますが、本の著者のお話が聞けるのは、ボク的にとても嬉しいイベントです。

 

図書館ボランティアさんに誘われて行ってきました。

 

写真家で写真絵本作家の小寺卓也さんは、鹿追町でも文化講演や、写真絵本作りワークショップを開催してくれて、その中でボクもこの世で一冊の写真集を作りました。

「あ、来てくださったのですね」と声をかけてくれました。覚えていてもらって嬉しかったです。

 

さて、この本は、北海道上士幌町中学校の石川先生のクラスで一年間かけて生徒たちが、一年かけて一冊の写真集を作るという試みの記録です。

プロの写真家で写真絵本作家の小寺卓矢さん(芽室町在住)が指導したり、自由に任せたりして彼らをナビゲートしたりしなかったり(微妙なニュアンスですが)して、生徒たちが自分の思う「学校生活の価値」を写真に収めていきます。

 

最初はプロとして、技術の高い写真の撮り方を教えようとしていた小寺さん。作品作りの信条としてとにかく多くのもの、瞬間をカメラに収めることがあります。

数百枚、校内のあちらこちらで撮影する生徒もいれば、十分の一も撮らない生徒もいました。

「数を撮らないとダメだ!」と思っていたのですが、途中で、「そればかりが大切ではない」と気がついたそうです。それぞれのペースでいいじゃないか、と。

 

そして面白いことに、生徒の撮った写真を彼ら自身の手で本に載せる分を選ぶとき、「え、それを使わないの!」と思うことも多いかったそうです。でも、みんな違ってみんないい。

生徒が選ばなかった写真にも、多くの素晴らし写真がある、とのお話。
選ぶのが難しいんですよね。

 

石川先生は、「学校では生徒たちが『選ぶ』ということがあまりなく、決められたようにやることが多い。写真は、たくさん撮るより、その中から残すものを選ぶことが大変。でも、大切だよな、自分も中学生の時にこんな授業があればよかった」

と語ってくれました。

 

石川先生の教室の空間作りは、ボクの記憶にある学校とずいぶん違って、自由な発想がありました。全員同じところにいなくても、落ち着ける場所、一人になれる場所が必要と、教室の後ろを棚で仕切り、物陰を作っています。

「幸せの空間」と名付けられたこの部屋。「シャレでつけました」と石川先生。
まてよ、ここが幸せの部屋なら、教室の他のスペースは…。
かなりのブラックジョーク?

 

これはずいぶん異質な取り組みに見えますが、10年も前から文科省で推奨している空間作りだそうです。

「でも、みんなやらないんだけど」

 

ボクははじめてお話を伺ったのですが、授業も空間作りも異質に思えて、どうして公立の学校でこんなことができるのか、疑問に思ったので質問コーナーで率直に聞いてみました。

先生は、「一足飛びではこの形にはならない。少しずつ、今できることを一つずつ積み重ねていったら、『まわりも学校のためになっている』とだんだん認めてくれて、次の一歩が踏み出せる。最初からこの形にはできなかった」とお話してくださいました。

 

ボクも教育委員会にいますが、学校という空間はよくも悪くも形が決まっていて、その通りにしかできないと思っていましたが、そうではないということが同じ十勝の町で実証されていました。

 

鹿追町図書館でも、各小学校にご協力いただき本の読み聞かせを行っていますが、なにか学校の可能性は無限で、限界を作っているのはボクらサイドなんじゃないか、子どもたちのためにもっといろいろできるんじゃないか、と感じました。

大きな学びの時間でした。

左が石川先生、右が小寺さん。
ボクも笑ったつもりですが、やはり能面…。

 

そうかー、図書館も学校もいろいろできそうだなー、とテンションがあがり、三冊購入。家にある一冊を合わせて、4冊になりました。誰かにあげようかな。

 

今日はこの辺りで。

 

鹿追町図書館、日曜日は午前10時から午後6時までの開館です。

世間では土・日・月と三連休。図書館は三日間とも開いています。せっかくだから来てね。

 

それでは~。

今日は何の日? 12月15日(2015) 観光バスとか

おはようございます。北海道十勝鹿追町の公務員、石川誠です。

 

現在、図書館で働いています。読書離れ、活字離れで本が売れなくなっている。書店が減り、図書館からも利用者が減っているということが言われます。

 

ボク自身は子どものころ、図書館によく通っていました。でも、大人になると、読む時間(余裕)がなくなるのと、おこづかいがちょっと増えたので、いいなと思う本は買うので、なかなか図書館に行かないということがありました。周りの人に聞いてみたら、結構そういう人が多いみたいです。

 

いい本を伝えていくのと、無理のない読書習慣の作り方、図書館のうまい利用方法とかも提案していくことも大事かなぁ、と思っています。

図書館に来たら、こんなにいいことがあるよ、ということを書ければいいですね。

 

まずは、図書館は、読書する人、時間を増やそう、ということが一つの方向性だと思うので、図書館所蔵の本を紹介していきます。

 

「今日は何の日?」方式で、紹介する本のテーマを決めてみます。

田中みのるさんのメルマガによると(田中さんのホームページでも調べられます)だいたい一年365日、「何かの日」になっているそうです。

 

12月15日はこんな日です。

 

 

観光バス記念日、年賀郵便特別扱い開始、権利章典の日、

ひよ子の日(毎月14日,15日)、イチゴの日(毎月)、お菓子の日(毎月)

妙見の縁日(毎月1日,15日)、水天の縁日(毎月1日,5日,15日)

 

 

に関する日は一年に何日かあるようです。「バス」で鹿追町図書館の蔵書検索をします。

 

「バスルームにご用心」志茂田景樹

はやくも違うバスがでてしまいました。

 

「バス・フィッシングがわかる本(ブラックバスと写真とイラストでつる)」つりトップ編集部

こっちのバスもありました。

 

「バスカヴィル家の犬」

なんだよ、またバス違いかよー、なんだよ、バスカヴィルって? と思って作者を見たらコナン・ドイルでした。ゆ、有名作品なのかな・・・? 聞いたことなかった。忠臣蔵も読んだことはないけど聞いたことくらいはあったのですが、これは初耳の単語でした。

 

「おじさんハワイ一人旅(オアフ島4泊6日バス・ツアー)」辻村裕治

このタイトルは、ちょっと気になりました。「おじさん」という部分と、「ハワイ一人旅」のギャップが気になるのかな。

 

「伊豆(気ままに電車とバスの旅)」ブルーガイド編集部 2000年刊行

伊豆長岡へ今年の3月に行きました。いいところでした。観光はする暇がなかったのですけど。

 

「鉄道・バス利用のアイルランドの旅」宮崎昭威

アイルランドと言えば、アイリッシュミュージックというのか、叙情的な音楽が思い出されます。というのは、全国各地で音楽活動をしている鹿追出身の音楽家の熊谷大輔さんが年に一度くらいティプシプーカというユニットで帰ってきてくれて聞かせてくれる演奏が、とても素晴らしいのです。楽しみに待っていますー!

読んでないと思うけど。

 

「ワイヤー雑貨(バスケットからアクセサリーまで)」

「バスケタリー(自然と身近な材料で、かごを編む)」

なるほど。

 

「おしゃれな花の寄せ植え(ハンギングバスケット&コンテナガーデン)」主婦の友社

北海道は長い冬に入りました。また来年のガーデニングを楽しみに、本で来年の計画などを練ってみては?

 

「黒子のバスケReplace」藤巻忠俊

少年ジャンプでヒットしたバスケットマンガを小説にしたものですね。若い子にはマンガを入り口に、小説の楽しさに触れて読書を楽しんでほしいな。

 

「日本のバス(100余年のあゆみとこれから)」鈴木文彦

これぞ図書館という感じの本です。過去を知り、未来に思いを馳せましょう。

 

「黄色いバスの奇跡(十勝バスの再生物語)」吉田理宏

前回もバスのテーマで紹介したところ、十勝バスの社長、野村さんと作者の吉田さんからコメントをいただいて、大きな反響がありました。あのときはびっくりしました。

嬉しくなって、十勝バスの模型も買いに行きました。

タウン誌で紹介されていました。十勝バスの本社で買えましたが、まだ在庫あるのかな?

タウン誌で紹介されていました。十勝バスの本社で買えましたが、まだ在庫あるのかな?

 

『はじめに』から、一部引用します。

 

「潰れる寸前の会社」でした。働いている人たちにやる気はなく、バスに乗るお客様の数も、まばら。このままなくなってしまっても、不思議ではありませんでした。

 

中略

 

今、十勝バスで働いている人たちは、とっても明るく楽しく、そしてやりがいを感じながら働いています。以前より従業員の数は少なくなってしまいましたし、今でも厳しい経営状況に変わりはないのですが、それぞれが、「十勝バス」で働くことに、誇りを持っています。

引用終わり

 

なんだか、これだけでジーンとなってきます。こんど、もうちょっと詳しく書いてみたくなりました。これは、十勝に住む人には読んでおいてほしい物語です。お正月休みに、書ければいいな。

 

 

今日はここまで。

 

鹿追町図書館では、8万冊の知恵と知識と物語がつづられた本が、あなたに手に取ってもらえる日を待っています。

 

 

気が向いたら、気軽に書棚をながめに来てくださいね(でも、図書館もいろいろ事情があるので借りてもらえると助かります)。

 

それでは、また。

 

 

今日は何の日? 12月14日(2015) 忠臣蔵とか

おはようございます。北海道十勝鹿追町の公務員、石川誠です。

 

現在、図書館で働いています。読書離れ、活字離れで本が売れなくなっている。書店が減り、図書館からも利用者が減っているということが言われます。

 

ボク自身は子どものころ、図書館によく通っていました。でも、大人になると、読む時間(余裕)がなくなるのと、おこづかいがちょっと増えたので、いいなと思う本は買うので、なかなか図書館に行かないということがありました。周りの人に聞いてみたら、結構そういう人が多いみたいです。

 

いい本を伝えていくのと、無理のない読書習慣の作り方、図書館のうまい利用方法とかも提案していくことも大事かなぁ、と思っています。

図書館に来たら、こんなにいいことがあるよ、ということを書ければいいですね。

 

まずは、図書館は、読書する人、時間を増やそう、ということが一つの方向性だと思うので、図書館所蔵の本を紹介していきます。

 

「今日は何の日?」方式で、紹介する本のテーマを決めてみます。

田中みのるさんのメルマガによると(田中さんのホームページでも調べられます)だいたい一年365日、「何かの日」になっているそうです。

 

12月14日はこんな日です。

 

四十七士討ち入りの日、忠臣蔵の日、南極の日、 ひよ子の日(毎月14日,15日)

忠臣蔵の日ですね。「忠臣蔵」というキーワードで鹿追町図書館の蔵書検索をしてみます。

忠臣蔵の本筋や、ちょっとひねった話など、そろってます。

忠臣蔵の本筋や、ちょっとひねった話など、そろってます。

22件ありました。忠臣蔵の本ばかりですね。そりゃそうか。

じつは、忠臣蔵、読んだことはありません。テレビで以前、しきりにドラマ化されていたときも、シーンをバラバラに少しずつ、それも別の年の別のドラマのシーンを途切れ途切れに見ただけです。

 

 

なのでストーリーもよく知らなくて頭の中にあるのは、

 

吉良上野介

アサノタクミノカミ

殿中にござる

雪の中の吉良邸討ち入り

というキーワードです。

 

「殿中にござる」は、別の時代劇かもしれないけど、どうだろう、確か忠臣蔵のような・・・、というくらいうろ覚えです。

だって、しきりにドラマ化されていたころは、時代劇に興味なかったんだもの。

と、誰に向けてとも知れず、知らないことについて言い訳をしてしまいます。

 

以下、当たっていれば忠臣蔵のネタバレですので、これから忠臣蔵を読もうと思っていて中身を知らない人は注意してください。

 

 

 

多分、吉良が悪者で、誰かが馬鹿にされて(ひょっとして馬鹿にされたのがアサノタクミノカミ?)、我慢できなくて偉い人の城の中で刀を抜こうとするが、その行為は主君に対する反逆と取られてしまうので、「殿中、殿中にござる!」と、止められるもこらえきれずに切りかかる。

 

結局、責任を取らざるを得なくなり、アサノタクミノカミ、切腹。その仲間、部下たちが、「吉良だけのうのうと、生きているのが許せない!」と、吉良を倒そうと吉良の屋敷に47人くらいで殴りこんだけど、偉い人に後で「それはだめだよ」と言われて、47人くらい切腹することになった事件。なんだろうか。

 

こんなにあらすじだけ書くと、そこは怒らず我慢しようよとか、刀を抜かずにパンチくらいにしとけば切腹までいかなかったんじゃないかとか、いろいろ思いますが、読んだり見たりしていると主人公に感情移入してしまう部分があるんでしょうね。

 

今話題の下町ロケットとか、前に流行った半沢直樹とか、見ていると手が出そうになるくらい悪役が憎らしい。けっして許してはいけない部分まで踏み込まれた。そういうことなのでしょう。

 

でも、図書館にいて、忠臣蔵を知らないのは完全に恥部ですね・・・。知らないのを黙っておいて、ネットであらすじを調べて知ってるふりで書こうかなと、ちょっと思いました。

でも神奈川県の勝村さんという人に「恥ずかしいと思う部分を書くのも大事だよ。というか、むしろそれを出した方がいいよ」と今年の2月、3月、9月頃に言われたので、見栄を張るのをやめて書いてみました。

 

「ボクなんかね・・・」と、勝村さんが話してくれました。

勝村さんは「日本一のサッカー馬鹿、勝村大輔」をネット上で名乗っていたら、「お前のバカさ加減なんかまだまだ日本一ではない」と不思議な炎上(ネットの主張に反論のコメントが相次いで、応援コメントとないまぜになることを炎上というみたい)をして、『サッカー馬鹿』の世界の意外な層の厚さに直面し、「そうかー」と、自ら「ただのサッカー馬鹿」に格下げすることにしたという話をしてくれました。悪いけど、笑ってしまいました。

 

 

 

忠臣蔵で「吉良」という言葉を聞いて、今思い出すのは荒木飛呂彦さんの人気マンガ、ジョジョの奇妙な冒険に出てくる変態殺人鬼、吉良吉影です。殺人鬼なんだけどわりと人気があるという、フィクションだから成立するのですけど、変態殺人鬼を魅力的に描く荒木飛呂彦さんの力量、すごいなと思いました。ジョジョの奇妙な冒険は、登場人物に奇妙な人が多く、面白いです。

 

「好きなことを書かないと、読んでもらえない。どうせ、世の中全員が読んでくれるわけじゃないし、好きな人しか読まないよ。でも、行儀良くても関心を持てない『どうでもいい人』になって誰にも好かれないより、好きな人に読んでもらえればいいじゃん」というようなこと(ちょっと言葉は違ったと思いますがそんなようなこと)を、東京都におすまいの奥ノ谷佳祐さんに今年の2月、3月、6月くらいに会った時に言われたので、ジョジョが好きだということも、吉良から連想して徒然なるままに書いてしまいました。

 

奥ノ谷さんも炎上したりしたけど、「大切な人のために書く」という信念(というか、愛)で毎日ブログやフェイスブック、ツイッターを続けていたらテレビから取材が来たりして、今では炎上を突き抜けて人気沸騰中。

ちなみに、彼はみんなが喜んでくれるからという理由で、冬でも短パンで街を歩くので「短パン社長」という通り名で有名です。でも、もし冬に北海道に来ることがあったら、無理しないでズボン(今、ズボンって言わない?)穿いてね。冬の釧路で短パンでポーズを決めている写真を見たこと記憶があるけど・・・。

先生のFacebookを見ていたら彼らの写真があったので、借りました。たぶん、彼らの姿を見て、二人としていた話を思い出して今日のブログの内容になったのかな。

先生のFacebookを見ていたら彼らの写真があったので、借りました。たぶん、彼らの姿を見て、二人としていた話を思い出して今日のブログの内容になったのかな。

なにか、長くなってしまいましたので、今日はここまで。

 

あ、今日は月曜なので休館日です。こんなブログを読んで、忠臣蔵を読みたくなった方は(いないかもしれないけど)、ごめんなさい・・・。
鹿追町図書館では、8万冊の知恵と知識と物語がつづられた本が、あなたに手に取ってもらえる日を待っています。

 

 

気が向いたら、気軽に書棚をながめに来てくださいね(でも、図書館もいろいろ事情があるので借りてもらえると助かります)。

 

それでは、また。

 

今日は何の日? 9月21日(2015)

おはようございます。北海道十勝鹿追町の公務員、石川誠です。

 

9月1日に人事異動があり、図書館係に配属されました。これまでは、花や畜産の担当経験がありますが、また違ったジャンルの職場となります。町のため、町の人の役立てるように仕事を覚えていきたいと思います。

 

図書館は、読書する人、時間を増やそう、ということが一つの方向性だと思うので、図書館所蔵の本を紹介していきます。こないだ思いついた「今日は何の日?」方式で、今日のテーマを決めてみます。

田中みのるさんのメルマガによると(田中さんのホームページでも調べられます)だいたい一年365日、「何かの日」になっているそうです。

 

9月21日は、こんな日です。

 

国際平和デー、世界停戦日、ファッションショーの日、世界アルツハイマーデー 漬物の日(毎月)

 

「国際平和」で蔵書検索。

あ、7件もある。意外。

 

「ゴラン高原国際平和協力業務記録集」

「ルワンダ難民救援国際平和協力業務記録写真集」

「モザンビーク国際平和協力業務記録写真集」

「エル・サルヴァドル国際平和協力業務記録写真集」

「ボスニア・ヘルツェゴヴィナ国際平和協力業務記録写真集」

と、映像資料が

「日本の国際平和協力(国連PKO 10年の歩み)」

「日本の国際平和協力(東ティモール国際平和協力業務の記録)」

 

まあ、そうなりますよね。このテーマではほかに作りようがないです。ニュースで聞いたことのある派遣ばかりですが、活動内容まで詳しくは知らないので、この機会に見てみるのもよいのでは。写真がメインなので目を通しやすいですし。

 

次に、「世界停戦」で蔵書検索。

0件でした。

 

それでは、「ファッションショー」を蔵書検索。

んー、0件かー。

 

ふだん、あまりファッションショーは見に行ったりしないしなぁ。あ、最近テレビでファッションショーを見たのを思い出した。

 

ZIPという番組だったかな。こんな感じ。

写真は小さくしか写ってないけど、本人はとても大きいです。

写真は小さくしか写ってないけど、本人はとても大きいです。

面白かった。

 

もうちょっと書いておきたいので「ファッション」で蔵書検索。

あ、ちなみに、近年知って驚いたのだけど、「ファッション」って意味は「服装」という意味だと思っていたけど、もともとは「流行」って意味なんですって。みなさん、知っていましたか?

 

さて、一冊目は、

「ファッション(蝶は国境をこえる)」森英恵

あ、これ、深い奴だ。

 

「服が好き。(ファッションも人生も自分でスタイリング)」

なるほど、ファッションも人生も、というところが興味を惹きますね。

 

「ファッションファッショ」山田詠美

これは小説でしょうね。タイトルだけではあらすじも検討がつきませんが。ファンも多い方なので面白いと思います。

 

「呪いのファッション」フォア文庫

うーん、小学生の時ならこの本を見つけたら、必ず借りて帰ってただろうなぁ。気になる。

 

「ファッション・建築・ITのしごと(叢書名)人気の職業早わかり!」PHP研究所

この三つを一冊でくくってしまうのか! PHP研究所も大胆だなぁ。

 

「ファッションのひみつ(叢書名)学研まんがでよくわかるシリーズ」

ボクの好きだった、「○○のひみつ」シリーズが登場です。宇宙のひみつとか、人体のひみつとか、シリーズは片っ端から読んだっけ。

 

「ひみつ」と言われると知りたくなったんだよな。

懐かしいな。久々に借りてみようかな・・・。

 

鹿追町図書館では、8万冊の知恵と知識とひみつがあなたをお待ちしています。連休中も開いてます!  気が向いたら、気軽に書棚をながめに来てくださいね。本を読まなくても結構面白いですよ(でも、図書館もいろいろ事情があるので借りてもらえると助かりすます)。

それでは、また。

 

映画「シェフ-三ツ星フードトラック始めました」を見てきました。

こんにちは。北海道鹿追町の公務員、石川誠です。

「シェフ」という映画を見てきました。最近は映画館に行くことも少なく、ネットで座席が指定できるようになっている所もある、ということも初めて知りました。
すごい友人が「これはSNSをやる人は見ないとダメ!」と、猛烈におススメしてくれた映画なので、楽しみにして見に行きました。以下、思ったことになります。前半部のネタバレありなのでこれから見る人は読まない方がいいです。映画は面白かったです。

シェフ ポスター写真

十勝ではまだ上映してないみたいです。

 

タイトルが「シェフ」なので、料理バトルの話をイメージした。子供のころ見ていたアニメにミスター味っ子というのがあり、料理人二人が同じテーマで料理を作り、審査員に試食させてどちらが優れているかを勝負するという内容だったが、料理のあまりのおいしさに、食べた審査員が「うーまーいーぞー!!」と叫びながらなぜか大阪城より巨大化し(たぶん、それぐらいおいしかったから)、勢い余って町を破壊して(たぶん、それぐらいおいしかったから)、さらに大きくなって宇宙に飛び出す(たぶん、それぐらいおいしかったから)ような内容を想像したが、見に行ったらそういう方向性ではなく、テーマは親子愛や、師弟愛、夫婦愛など、結構真面目な内容だった。
ただ、話のスパイスに(主軸に?)ソーシャルネットワーキングサービス(以下SNS)が使われていた。ツイッターが炎上してすごいことになる。

ツイッターの炎上で思い出されるのは、アイスケースに寝そべった若者の画像だろうか。テレビニュースにも取り上げられたくらい、インパクトがあった。「若気の至り」が、日本中からお叱りをうける事態となる、今や大きな影響力を持ったメディアである。
逆に有効に活用する、ということであれば、誤発注で二桁多く頼んでしまったものを、ツイッターで「ピンチ。助けてー」と送信したところ、救いの手が差し伸べられて完売した、という例もある。
SNSで言えば短パン社長という人がSNSだけで告知を行い、業界からも信じてもらえないくらい売れたという例もある。これは、彼がコツコツ続けてきたことが、実を結んだということなのだが、聞き手に理解する下地がないと、手品を見ているような気になり、正しい答えは出せないのであろう。件の社長がその話をしていると、人によっては「友達だから売れたんだろう」「ショッピングサイトの作りが良かったのでは」という、自分の理解の範疇に留まるような解釈をしようとする(ちなみに、友達に売り込んで、一千六百万円も買ってもらうことができるだろうか? そして、ショッピングサイトは特になく、Facebookで告知しただけである)。「わかる」と「できる」は別次元のことであると言われるが、コンピューターの進化により、「わかる」までに壁があることが増えた。
まさに、花は観手に咲くということで、観手によっては花の咲く理由がわからないし、それが花だとも気がつかない。短パンをはいているから人気者なのではなく、常に短パンをはく行動力と信念、そこに至るまでの発想が、次第に理解され、支持されるということなのだが、目立つ派手なパフォーマンスを取り上げて、「あの人だからできる」というのは彼を理解したことにならない。
むしろ、彼の短パンという服装を学ぶのではなく、なぜそうするのか考え方を学ぶべきである。彼は、「この売り方は僕しかできないけど、誰にだってできる」と語っている。

「反発」と「共感」?
かっこいい友人のおススメ映画、「シェフ」の話に戻ろう。主人公はかつてその料理の腕が評判になり、今は高級レストランのメインシェフとして仕事をしていた。良くも悪くも店の看板であり、一流店ゆえに彼自身が望む革新・斬新な料理を出せず、安定した売り上げと評判を求めるオーナーと衝突していた。
あるとき、料理評論家の来店にあたり、彼は、自分の望む料理で挑もうとし、スタッフもそれを望んでいた。が、オーナーはチャレンジを認めず、彼の挑戦は叶わなかった。
定番でおいしいが、チャレンジのないありきたりとなってしまったメニューに評論家は失望し、彼の持てる表現力を持って酷評した。
ブログとツイッターで。そして、彼の読者に広がり、ネット上で大きな反響となる。
予想以上の悪い反響に焦った主人公は、慌てて息子に習い、ツイッターで罵倒するが、昨日慌ててアカウントを作った彼は、相手にだけのメッセージだと勘違いして、全世界に罵詈雑言を公開してしまう。
もともと無名な男ではなかった主人公と評論家の争いは、ネット上で大いに盛り上がった。当人の思惑に関わらず。これはネットでは「イベント性」の盛り上がりだろう。
もちろんネットに疎くても料理の腕は折り紙付きの主人公、彼の創意工夫で評論家の舌を唸らせる新作料理を出そうとしたが、またもオーナーに阻まれる。
それどころか、主人公とオーナーのお互いの主張、シェフのこだわり料理か、安定、定番の料理かで折り合いがつかず、クビになってしまい、戦うことができなかった。評論家に出されたのはサブのシェフの出す、定番料理。当然、評論家は再度失望。「逃げ出した」と評する。主人公は怒りの突撃を行うも、全くの逆効果。今度はその興奮しきった様子が動画でネットに流れ、ネットでさらに(良くも悪くも)盛り上がり、雇い先が無くなった。
ここからの挽回が面白いのだが・・・。
それはそうとして、感想として、傍目で見ると、「それやっちゃダメ!」ってことばかり続けていきます。そうでなければ話にならないけど。
だが、この辺りの展開は、ネットに疎いと、そう動いてしまうというのは十分な説得力があり、怖いなと思わせる。
これだけだと、インターネットを使うのは止めようかと思ってしまうくらいだが、ここからが面白い。インターネットは毒にも薬にもなる、しかも劇薬である。
どこまでネタバレしていいのかわからないが、見終わったあと、明るい気持ちになる映画なので安心して見てもらいたい。

インターネットは大きな影響力がある。

僕の尊敬する先生は、「個人でメディアがほぼ無料で持てる、エキサイティングな時代だ」と何年も前から話していたが、まさにその通りで、相対的にマスメディアの力はこれまでに比べて落ちる一方である。
近頃話題になったルミネの広告動画は、今後、セクハラ上司(同僚?)を見返すようなシナリオがおそらく用意されていた気がするが、その前の掴みの段階で叩かれて、続くスカッとする解決編の上映を待たずして引っ込めざるを得なくなったようだ。
提供方の、続編への引っ張り方もコントロールできなくなり、広告にはこれまでと違った手法を取らなければならなくなった。かといって、長―い動画を一度に魅せられても最後まで再生されないかも。少しずつ見せたかったのだろうなと思う。難しい時代だなぁ。
おっと、映画と関係なくなったので話を戻すと、主人公の行動に対しては、非難ばかりではなく、「賛否両論」である。自らの料理を否定されて、評論によって窮地に陥ったため、相手に感情的になって怒るシェフに対して、共感する人もいるということである。
それだけではなく、1度目のツイッター炎上のあと、店は予約で一杯になっている。良くも悪くも知られることが必要ということである。
ここからは、家族愛、親子愛、師弟愛や、プロとしての生き方の話になる。ただ、真面目に仕事に徹するだけでなく、正しく社会に理解してもらうことが必要である、という示唆に富んだ話である。
主人公は、見た目はかっこよくないけど結構モテるので、そういう意味でも勇気をもらったりした。

予定の倍くらい、文章を書いてしまったので唐突にまとめ。

世の中、自分の未知のことで窮地に陥ることもあるし、思った以上に成功することもある。ただそれは、きちんとした精進や技術(今回は料理の腕)がないと活かせない。あと、自分の心を偽って仕事をしていては、自分自身や家族は幸せになりがたい、ということもある。
そして、トラックがいきなり綺麗になり過ぎじゃないか、と思った。磨きマニアは納得の仕上がりなのだろうか。

この映画から得た教訓
仕事も大事だし、家族と向き合う時間も大切。あと、世の中で流行っているものへのアンテナがないと、ピンチになる。
仕事を楽しみ、家族のことにも目を向け、そして、幅の広い勉強をしよう。宿題は早めに提出しよう。
おわり。