昨日から始めた朝読、今日はこの本より新たな知識を学びました。
植物はすごい 田中修 中公新書
植物は動物に食べられないように毒を持ったりするものがあります。
トリカブトなどが有名ですがユーカリの葉っぱにも、青酸が含まれているそうです。
ユーカリといえば、コアラが食べることで有名ですよね。はて?
コアラは青酸が平気なのでしょうか? 実は、コアラも青酸に強い体というわけではなく、腸の中に青酸を無毒にする細菌がいるから、ユーカリを食べることができるそうです。
でも、生まれたばかりのコアラには、その菌はいないのです。
子どもが生まれると、親子荒は自分のフンを食べさせるのです。
子コアラは、フンだけでなく、親の肛門のあたりを激しくなめます。こうして、ユーカリの毒を消す菌を受け継ぐそうです。
むむむ。フンを食べるのも知らなかったけど、そういう趣味ではなく生きるために必要な継承だったとは…。
ここだけ切り取って読むと、植物はすごいというよりコアラがすごい感が出てしまいますね。でも10分で読めたのはこことトリカブトのお話なのでした。悪しからず。
せっかく買った本が家にたくさんあるので、朝読をしてみることにした。
町内の学校では朝読(あさどく)を進めている。
みんな静かに本を読む時間を、一日10分でもいいから作るのだ。
一冊全部読もうとすると、まとまった時間が必要で結局手がつかない。ここ何年も経験してきたことだ。
こどもたちが取り組んでいるので、図書館で働くボクがしないのも、違うよなぁと思ってやることにした。
アスリートがジョギングやトレーニングを日課にするのと同じ意味合いだろうか。
教育を変える学校図書館の可能性 学校図書館問題研究会 教育史料出版会
1998年刊行
ページをめくると松井一恵さんのレポートの中の『学校図書館は「どこでもドア」』という言葉が目に飛び込んできた。
いろいろな本からどんな世界にも旅立てることから、どこでもドアである、ということ。
なるほど、そうだよなー。
本は、たとえば、南極の極寒の世界、まだ誰も見たことのない宇宙の果て、アマゾンのジャングルの奥地など、新たな世界への冒険の扉だ。
そして、すぐ帰ってこれることもどこでもドアに通ずる。
このどこでもドアの素晴らしさを、子どもたちに伝えなければ。
まず、小学生に学校図書館はどこでもドアだと伝えていろいろな世界での冒険を楽しんでもらう。
それには…。
うん、10分の読書では終わらなかった。
Facebookで友達の投稿を見ていたら思い出したこと。
去年の夏、ポテトの呼びかけで、東京からポテトとシーラ、大阪からはるちゃん、そしてこのボクが札幌に集まりました。(いろんな人が集まるエクスマ塾で、本名で呼び合うと打ち解けにくいし、フラットにいろんなアイディアを出すためにニックネームで呼び合います)。
お目当ては大泉洋さんたちのチームナックスの公演で、その翌日に、「政寿司」さんでおすしを食べよう! ということで小樽に行きました(ポテトはスケジュールの都合で東京に戻ったけど。残念…)。
大満足で、せっかくだから運河通りを通って駅に戻ろう、と小樽の街を歩いてた時にシーラが「なんで小樽ってレンガの建物が多いのかな?」という話になった時に今度調べようと思っていて調べてなかったのです。
昨日、たまたま北海道の伝統についての資料を探していた時に小樽についての本があったので、思い出してページをめくっていたらそのことが載っていました。
「ガイドブック小林多喜二と小樽」小林多喜二祭実行委員会編 新日本出版社 1994年刊行
この本によると、小樽の街は何度か大火に見舞われており、その中でも1904年の大火はなんと2,481戸が被害にあっている。
そのため教訓として木造の建物を少なくして、石造りやレンガ積の家、瓦屋根や、隣の家と境を隔てる袖壁などが多くなっている。そして太平洋戦争での戦火は免れたため、現在まで残っている古い建物が多くあるとのこと。
なるほどー。町に歴史ありですね。
あと、小林多喜二といえば、蟹工船しか知らなかったけど、小樽がゆかりの土地だったのですね。
ページをめくると、第1回北海道メーデーが小樽で行われています。なぜ札幌でなく、小樽なのかなー、と思って読んでいると、小林多喜二はスパイの手引きで特高警察にスパイの手引きでつかまり、拷問の上虐殺されました。マスコミには、心臓まひで死亡、と発表され、そのまま報道されたそうです。
48ページには、自宅に遺体が運ばれ、仲間、支持者が沈痛な面持ちでいるところが写真に残っていますが、確かに、顔には古い写真でもはっきりと見てとれる大きなあざが…。
小樽では、「多喜二の労農葬に集まれ」「労働者農民のために戦った小林多喜二の虐殺に抗議の署名運動を起こせ」と、ビラがまかれたのですが、主催者十数名が事前検束され、集会は開催不能に追い込まれたそうです。
労働運動は権力によって弾圧されました。恐ろしい世の中でした。
蟹工船と言えば、国語の教科書でちらっと読んだくらいで、つらい労働の話としてしか捉えていませんでしたし、作品の背景、テーマも今この本を読んで知りました。
「検束」という言葉もはじめて目にしました。
お恥ずかしい…。
さらに読み進めると、小林多喜二がかように死に追い込まれたのは29歳の時。
あまりに若すぎる死が惜しまれます。もっと多くの作品を生み出せただろうに…。
とても勉強になりました。
「小樽 レンガの建物 多い理由」とグーグルで調べればすぐわかるのかもしれないのですが…。
ググるのもいいのですが、本で調べると、その過程で他にも知らなかったことがわかるということを普段言っていたけど、身を持って体験しました。
本っていいなー。
「ボッコちゃん」星新一 新潮社
ブログの大先輩、石川直樹さんがショートショートの神様、作家の星新一さんの作品を薦めていたので、ボクも、「家に何冊かあるよなー、段ボール箱の中かなー」と、本棚を探すと、運よく、何年か前に表紙がリニューアルされた「ボッコちゃん」が出てきました。全部読むのもいいけど、まずは気になる一篇を。
『愛用の時計』
さすが、ショートショート、始まった、と思ったら、3ページで話が終わる。
なんとなく、ボクの師匠に教わった、世阿弥の唱えた能の技法、「序・破・急」を感じました。
K氏が気に入って、大事に大事にしていた大好きな時計。手入れも欠かさず、メンテナンスもきちんとしていて、そのおかげで時間に正確。
ところが、あるとき、その時計の時刻が狂ってしまう。その訳とは…。
その訳が、書かれているようないないような、解釈を読者に任せるところも、起承転結の「結」ではなく、序破急の「急」でしょうね。
3ページで、いろいろ考えさせられました。
ワンアイディアを、惜しげもなく3ページで使い切ってしまうのは、もったいない気もしますが、それができるところが星新一さんのすごいところ。
序破急、大切ですね。
あ、ボクの家の本棚にもありますが、鹿追町図書館でも貸し出ししています。というか、だいたいの本屋さんや図書館でも読めると思います。