「ボッコちゃん」星新一 新潮社
ブログの大先輩、石川直樹さんがショートショートの神様、作家の星新一さんの作品を薦めていたので、ボクも、「家に何冊かあるよなー、段ボール箱の中かなー」と、本棚を探すと、運よく、何年か前に表紙がリニューアルされた「ボッコちゃん」が出てきました。全部読むのもいいけど、まずは気になる一篇を。
『愛用の時計』
さすが、ショートショート、始まった、と思ったら、3ページで話が終わる。
なんとなく、ボクの師匠に教わった、世阿弥の唱えた能の技法、「序・破・急」を感じました。
K氏が気に入って、大事に大事にしていた大好きな時計。手入れも欠かさず、メンテナンスもきちんとしていて、そのおかげで時間に正確。
ところが、あるとき、その時計の時刻が狂ってしまう。その訳とは…。
その訳が、書かれているようないないような、解釈を読者に任せるところも、起承転結の「結」ではなく、序破急の「急」でしょうね。
3ページで、いろいろ考えさせられました。
ワンアイディアを、惜しげもなく3ページで使い切ってしまうのは、もったいない気もしますが、それができるところが星新一さんのすごいところ。
序破急、大切ですね。
あ、ボクの家の本棚にもありますが、鹿追町図書館でも貸し出ししています。というか、だいたいの本屋さんや図書館でも読めると思います。
投稿者プロフィール
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北海道鹿追町の図書館で働いています。心に残っている本は、一冊というのはとても難しいのですが、小学校高学年で読んだ「がんくつ王」です。
物語を心に宿すことのできる、読書の魅力を伝えていきたいです。
こちらのブログは、個人の意見を書き連ねています。
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Posted on 2016年4月4日, 11:28 PM By 石川 誠
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