【書評】夜のスイッチ レイ・ブラッドベリ
図書館で、ふと目についたこの本。
そういえば、ブラッドベリは読んだことなかったなぁ。ええと、有名な作品、何だったっけ…。
おはようございます。読書の楽しみを、ネット社会だからこそ伝えていきたい、鹿追町図書館で働く石川誠です。
ブラッドベリが著名な作家だとは知っていたけど作品は読んでいなかった。
手に取ると、分量も少なくて忙しい中でもすぐ読み終わりそうだった。
少年は夜が嫌いで、夜が訪れるからランプのスイッチを消すのも嫌いだった。
そこに、一人の少女が現れて、そうじゃないんだよ、と彼に伝える。
40数ページで、見開きに何行かの文字量。
子ども向けの童話を思わせる分量だが、この物語が隠喩するものは深い。
「あかりを消すのではなく、夜のスイッチを入れるの!」と不思議な少女に言われて、現実のボクがページをめくると、たしかにコオロギの鳴き声が聞こえてきた。カエルの鳴き声も。
なかなか無い、不思議な感覚だったけど、主人公と女の子と、そしてボク自身、夜のスイッチを入れることに成功した。
同じ現象でも、どこに視点を合わせるかでまったく別の現象がおきる。まさか、この短い本でそんな感覚が味わえると思わなかった。
本は、著者との対話であり、著者から何を引き出せるかはこちらの読み方によって変わる。
ボクの状況にピタリとあっていたのかもしれない。
夜をおそれてあかりを絶やさない少年は、不都合なことから目を背ける臆病者なのか。しかし、不都合に思えるマイナスのできごとも、見方ひとつで明るいプラスのできごとに変えられる。そんなことを教えてくれた、この本。
優れた物語は、余韻が残る。
【夜のスイッチ】 レイ・ブラッドベリ 晶文社
投稿者プロフィール
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北海道鹿追町の図書館で働いています。心に残っている本は、一冊というのはとても難しいのですが、小学校高学年で読んだ「がんくつ王」です。
物語を心に宿すことのできる、読書の魅力を伝えていきたいです。
こちらのブログは、個人の意見を書き連ねています。
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Posted on 2019年4月18日, 8:05 AM By 石川 誠
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