おはようございます。北海道十勝鹿追町の公務員、図書館で働いている石川誠です。
鹿追町図書館所蔵の本を紹介しています。
「なんだか気になるなー」という本との出会いのきっかけになれればいいなーと、思っています。
さて、「今日は何の日?」をテーマに紹介する本を選んでいるのです。
以前から親交のある、田中みのるさんのメルマガによると(田中さんのホームページでも調べられます)だいたい一年365日、「何かの日」になっているそうです。
3月5日はこんな日です。
珊瑚の日、ミス・コンテストの日、スチュワーデスの日、三幸の日、安藤百福の日、巫女の日、ノー・レジ袋の日(毎月5日)、水天の縁日(毎月1日,5日,15日)
なるほど、さんごの日でした。
「さんご」で鹿追町図書館の蔵書検索をすると、納得のタイトルが。
「abさんご」黒田夏子 文芸春秋 2013年刊行
あれ、まだ刊行されて3年しか経っていないのですね。もうずいぶん前の出来事のような気が…。
※【ミス・コンテストの日】・【ミスコンの日】
1908(明治41)年、時事新報社が全国から「良家の淑女」を対象に写真を募集し、その審査結果を公表した。これが日本初のミスコンテストとなった。
1等に選出されたのは小倉市長・末弘直方の四女・ヒロ子で、学習院女子部3年に在学中だった。
コンテスト参加は学習院で大問題となり、彼女は退学処分になってしまった。
えー! 何事も先駆者というのは常識外のことになるので、風当りが強いのですね。悪いことじゃないのにね。
「ミス・コンテスト」で蔵書検索しても0件なので、「ミス」で検索。
638件が該当。ピンチ。
とりあえず、一件目から順に紹介。
「大志と野望(ウィリアム・スミス・クラークの足跡をたずねて)」北海道放送「大志と野望」特別取材班 KABA書房
なるほど、「スミス」というお名前から、検索にかかっているのですね。しかし、これはいい本の予感。
続いて2件目。
「ハード・アイス(ハヤカワ・ミステリ文庫)」ジェニー・サイラー 早川書房
なるほど、「ミステリ」が検索にかかっているのですね。これはえらいことになった。
「甦ったミスター球団」大下英治 角川書店 1985年刊行
なるほど、「ミスター」が検索にかかっているのですね。ボクは、「球団」と聞くと野球、その流れで「ミスター」と聞くと、長嶋茂雄さんを連想しますが、この本は果たして。
「『C62ニセコ』殺人事件(トラベル・ミステリー傑作集 Part7)」西村京太郎 光文社 1989年刊行
やはり西村先生、今日もボクをニセコから助けに来てくださいました。
「特急『あさま』が運ぶ殺意(トラベル・ミステリー傑作集 Part8)」西村京太郎 光文社 1992年刊行
西村先生、さらに、特急あさまにて到着です。
「特急『あさま』が運ぶ殺意(トラベル・ミステリー傑作集 Part8)」西村京太郎 光文社 1992年刊行
あれ? 続いても西村先生。二番線ホームにも、特急あさまが到着です。
「特急『あさま』が運ぶ殺意(トラベル・ミステリー傑作集 Part8)」西村京太郎 光文社 1992年刊行
んん? さらにマウンドは西村選手。三番線ホームにも、特急あさまが到着です。なんだ、このダイヤは。
特急『あさま』は殺意を運び続けます。このままでは、殺されてしまいます。
なんだこりゃ。
タイプミスかな。
図書館では購入した本に「資料コード」という、人間で言えばマイナンバーみたいな番号が振られるのですが(なんか嫌な例えだな)、この三冊、すべて違う番号になっているので、この三冊が鹿追町図書館にあるのは間違いないようです。
うちの町の規模の図書館なら、よっぽどのことがない限り、同じ本は一冊しかないはずなのですが…。
「ミス」だけにミスったのか。ミスというより、これ自体がミステリーなのか。
いや、こういうことも考えられます。
西村先生の新刊本、当然わが図書館は購入します。
しかし、大人気の西村先生の新刊本。貸し出しの申し込みが殺到して、順番待ちが続きます。
「西村先生の本、人気なのはわかるけど、もう半年待っている。なんとかならないか」
と、図書館に利用者さんからの声が届きました。予約の順番をみると、その方はさらにあと一年くらい待たなければ借りられません。
大変です。このペースでは、この方が新刊を手にするのは、次の新刊が出てからになってしまって、「やったー! 一年半待った、西村先生の新刊がようやく読めるぞ!」と、手に取るころには、part9が出てしまっているかもしれません。新刊じゃなくなってしまいます。
「お待たせしました。おめでとうございます。ご予約の西村先生の新刊、part8です」とお渡しする横で別の方が、西村先生の新刊、part9を借りていくということがおきるかもしれません。
とんだぬか喜びです。
「新刊だと思ったのに…」と、がっかりしてとぼとぼ、part8を持ち帰る利用者さん。
「このままでは、みんなが悲しい思いをしていまう。なにか我々にできることはないのだろうか」
「ふだん、二週間の貸出期間を、半分の一週間に限定する特例を設けよう。そうすれば、早く返ってくる」
「いや、待ちに待った西村先生の本だ。みんな、じっくりと味わいたいに決まっている。それはできない」
図書館の職員は、夜も寝ないで三日三晩、話し合いました。
そこで、館長はある決断をします。
「さすが大人気の西村先生だ。みなさん、熱望しておられる。よし、とくべつにもう一冊所蔵して、せめてお待たせする時間を半分の期間に短縮しよう」
ふだんはお堅い役人たちも、にしむらせんせいがだいすきでした。町の人たちのため、いっしょうけんめいにかんがえました。
そして、二冊目が所蔵されました。まちの人は、おおよろこびです。
「ああ、これでにしむらせんせいのほんが、はやくよめるぞ! ありがたいことだなぁ」
まちのひとは、うれしくておまつりをはじめました。
そのさわぎを聞きつけた、まちいちばんのおおがねもち、本の大好きな吾作どんが、「そうか、みんなそんなに早く読みたいなら、わしが買って読んだにしむらせんせいのこの本、としょかんにあげるから、みんなで読むと良いぞよ」
まちのひとはかんげきしました。
「ああ、これでさんかげつごには、にしむらせんせいのしんかんがよめるぞ。ありがたや、ありがたや」
こうして、しかおいのむらのひとたちは、みんなでにしむらせんせいのほんをたのしみました。
めでたし、めでたし。
おしまい。
本日は午前10時から午後6時まで開館です。
一年半待ちの大人気、西村先生の「特急『あさま』が運ぶ殺意(トラベル・ミステリー傑作集 Part8)」光文社 1992年刊行
は、今なら先着三名まで、すぐ借りられますよ!!!!!
投稿者プロフィール
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北海道鹿追町の図書館で働いています。心に残っている本は、一冊というのはとても難しいのですが、小学校高学年で読んだ「がんくつ王」です。
物語を心に宿すことのできる、読書の魅力を伝えていきたいです。
こちらのブログは、個人の意見を書き連ねています。
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