「コミック版 プロジェクトX 挑戦者たち 男たちの復活戦 デジタルカメラに賭ける」
NHKプロジェクトX制作班
鹿追町図書館所蔵図書。
2016(平成28年)3月19日、読んで感動。以下感想。
これは、一度敗れた男たちの、敗者復活の物語である。
デジタルカメラを開発する、あるチームの物語。
デジタルカメラは、一度は社内でGOサインが出て、華々しくデビューを狙ったものの、その完成記者会見で動作不良を起こしてしまう。なんとか世に出すも、販売成績で惨敗し、大赤字となってしまった。
デジタルカメラは「売れないもの」との烙印を押され、開発部所は社内でも日陰もの…。
無念の、店頭での七割引きで在庫処理販売。
寝食を惜しんで開発した、「我が子たち」を安売りせざるを得ない。慣れない接客を必死におこなう。
それでも「いらないよ」とのお客さんの直接の声。開発者たちにとって、どれほどの無念さであったろうか。
しかし、「この無念さから、目をそらしてはいけない」と、チームリーダー末高は、その光景を脳裏に刻む。
とうとう開発チームも解散。
しかし、あきらめない。本来の業務の合間にひそかに研究を続ける。
開発費もなく、社内の他の用途の部品をこっそり集めて作ってみる。
「上役が視察に来る」と聞けば、開発中の機材を隠す。
巨額の赤字を出したデジタルカメラは、社内でタブーであった。
なぜ、めげずに、折れずに、開発を続けられたのか。
「この技術は、きっと必要とされる。必ず世の中の役に立つ」
大きく、重たい。しかし小型化すれば熱がこもり、持てないほど熱くなる…。
様々な課題をクリアして、社長以下、重役の並ぶ、敗者復活戦の社内プレゼン。タブーの「デジタルカメラ」という言葉は一切使わずに説明する。
「君たちの執念勝ちだ。それでいこう」との、社長の裁決。
しかし、会議室から戻るエレベーターで、主人公の開発チームのリーダーである末高は、プレゼンした部下に不満をもらす。
「とうとう最後までカメラの説明が一切なかったな!」
部下は、にやりと笑って、
「でも、企画は通ったでしょ?」
このやりとり、しびれました。
今は2016年。
デジタルカメラ、QV-10が1995年に出て、21年。時代を作ったデジタルカメラも、今はスマホの時代に移りつつある。デジカメがあったから、スマホもできた。
さらに今も彼らは新しいチャレンジを続けているはず。
この本を読んで、「視点を変える」という気づきをいっぱいもらいました。
ボクもチャレンジしてみようと思いました。
この本に出会えて良かった。
投稿者プロフィール
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北海道鹿追町の図書館で働いています。心に残っている本は、一冊というのはとても難しいのですが、小学校高学年で読んだ「がんくつ王」です。
物語を心に宿すことのできる、読書の魅力を伝えていきたいです。
こちらのブログは、個人の意見を書き連ねています。
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